2026/02/28 22:25

お金の苦労が教えた本当の豊かさ

23歳のとき、
私は夫と一緒にランジェリーショップを始めるはずでした。

けれど、夫は喘息発作で倒れ、
私はひとりでお店を開くことになりました。

不安よりも、「やるしかない」という覚悟でした。

高度成長の波に乗った日々

26歳頃から売上が伸び始め、
私は時代の追い風に乗りました。

高度成長期。
女性たちはおしゃれに目覚め、
ランジェリーも“美しさ”の象徴になっていきました。

気がつけば市内に4店舗。
ファッションも加え、
毎日が忙しく、充実していました。

「成功している」
周りからはそう見えていたでしょう。

46歳、突然の転機

けれど、46歳のとき――

大好きだった仕事に
心が向かなくなったのです。

身体は常に緊張し、
肩で呼吸をするようになり、
夜も眠れない。

資金繰りも厳しくなり、
基幹店舗の閉店を決断しました。

駅ビル出店のときに背負った
莫大な借金は、まだ半分残っていました。

閉店は、
経営者としての決断であると同時に、
私の誇りを手放す決断でもありました。

心と身体が教えてくれたこと

夫の看病。
仕事の重圧。
借金の不安。

私は強い女性でいようとしました。
でも、心も身体も正直でした。

「もう限界です」

そう、教えてくれていたのです。

お金とは何だったのか

あの頃の私は、
売上や店舗数が“豊かさ”だと思っていました。

けれど、
身体が壊れ、心が疲れ果てたときに
初めて気づいたのです。

本当の豊かさとは――

 安心して呼吸できること
  心が穏やかであること
大切な人と静かに笑えること

お金は大切です。
けれど、お金は“豊かさそのもの”ではありませんでした。

苦労がくれた贈り物

もし、あの借金がなかったら。
もし、順風満帆のままだったら。

私は今、
「知恵」と「徳」を語る人にはなっていなかったでしょう。

苦労は、私から多くを奪いました。
でも同時に、本質を教えてくれました。

豊かさとは
外側に増やすものではなく
内側に育てるものだという事を。